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アブさん

513:本当にあった怖い名無し:2011/02/24(木) 17:45:21.72 ID:Aq1qWMQJ0
怖くないけど、異様な体験の思い出を書き込んでみる。

俺は○教大学出身なんだけど、そこにマリ出身のアブさんってニックネームの、アフリカ人留学生がいた。
当時大学3年だった俺は、ジェンベっていう太鼓のサークルのメンバーで、
新入生の勧誘やってたら、いきなり黒人が「やりたい」って来てんだよ。
話し聞いたら留学生で、名前がアブディラだかアブドゥルだかって言うから、
俺らサークル仲間はアブさんって呼んでた。
ジェンベが凄く巧くて、しかも24歳でサークルの現役メンバーじゃ一番年上だったから、
自然と俺らから一目置かれて、さん付けになるって感じだった。


514:本当にあった怖い名無し:2011/02/24(木) 17:45:44.30 ID:Aq1qWMQJ0
それで、事が起こったのは夏のある夜だった。
サークルメンバーの一人で、同じ3年のNから突然、
『4年になったら就活で会う機会無くなるから、今夜、みんなでアライさん家いかね?』
という電話が来た。たしか7時頃だった。
俺は、
「アライって誰だよ。え?心霊スポット?肝試しすんの?いいよ。
 アブさんは誘ってない?じゃあ俺が電話するわ」
みたいな受け答えしてた。
俺は心霊スポットでアブさんがどう反応するか見てみたかったので、即電話した。
「もしもし、○○だけど。アブさん俺らと今から遊び、行くのオーケー?」
『えー、レポートやるよ!でもいいよ。行く、ドコか?』
「ゴーストハウス!あー、メゾン・ド・ファントム?」
『それ怖いの所か。遊び違うよ。嫌だよ。私忙しいよ』
「いや、アブさん必要!アブさん絶対行く!」
俺が必死に誘うと、アブさんもしぶしぶ行くことにした。
俺らはNの車に乗ってアライさん家に行った。


515:本当にあった怖い名無し:2011/02/24(木) 17:46:09.01 ID:Aq1qWMQJ0
結局、集まったメンバーは、Nと俺とアブさんと、3年のK、2年のIの、5人の男だけだった。
アブさんが「みんなジェンベ持って来て」って言うので、俺らは各自のジェンベを持ってきた。
でも、アブさん自身はジェンベじゃなく、なにか小汚い布の包みを持っていた。
みんながアブさんに、「心霊スポットで演奏会するのか?」って聞いたら、
アブさんは、「違う。ファントム危ないよ、遠くにやるよ」って言った。
よくわからんが、幽霊が怖いから除霊するらしい。

その後、アブさんが自分の計画を話してくれたんだけど、それがかなり奇妙な計画だった。
まず、アブさんは近くの森に一人で入り、俺らは廃墟の前でジェンベを叩く。
すると森から男が出てくる。この男はアブさんじゃなくて、『ントモ』というエスプリ(精霊)らしい。
だから、一見アブさんのように見えても、アブさんじゃなく『ントモ』と呼ばないといけないらしい。
それで、その精霊が幽霊を追い払ってまた森に帰るまで、俺らはジェンベを叩き続ける。
これがアブさんの計画だった。


516:本当にあった怖い名無し:2011/02/24(木) 17:46:31.57 ID:Aq1qWMQJ0
アブさんはイスラム教徒で、酒も豚肉もやらない奴だったから、
俺たちは「アブさん、あんたイスラム教徒なのに何で精霊が出て来るんだよw」って突っ込んだが、
アブさんいわく、自分はマリのバマナ部族の出身で、父がヨーロッパ人観光客向けビジネスで成功したが、
本来はシャーマンの家系で、現地の秘密のサークルの正式メンバーでもあるから大丈夫だとか、
そういう余計訳のわからん説明で返されてしまった。

とにかくアブさんが森に入って、俺たちがジェンベを叩きまくってしばらくすると、
森からなんか異様な奴が出てきた。
そいつは、クシを逆さまにして目鼻を付けたような仮面を被り、
テーブルクロスくらいある小汚い布を、頭の上からすっぽり被って体を覆い隠していた。
そいつが体を大きく左右にくねくね揺すりながら、俺らの方に近づいて来たので、
俺らは「ントモだー!」「ントモが来た!」「ントモー!」とか叫びながら、ジェンベを叩き続けた。
ントモは家の前に来ると、相変わらず左右にくねくねしながら、ヘタな日本語で、
「私ントモだよ!ントモ怒てるよ!あなたたち死んだの人!ここいるダメよ!悪いのことよ!」
と、幽霊に怒りをぶちまけた。
すると今度は、急にさっき出てきた森のほうを見て、
「行くよ、あなたたち!ントモといしょに死んだの人たくさんの所帰るだよ!ントモといしょに帰るよ!」
と言い出し、森に向かってくねくね歩いて消えていった。


517:本当にあった怖い名無し:2011/02/24(木) 17:46:58.52 ID:Aq1qWMQJ0
俺らはジェンベを叩くのを止め、不安になりながらアブさんが戻るのを待っていた。
森の茂みがガサガサし、小汚い布の包みを持ったアブさんがちゃんと出てきて、
「もう大丈夫よ!ここいたの死んだの人たち、ントモといしょに帰ったよ」
とか言ったので、俺たちはほっとした。

その後、みんなでアライさん家の探検をしたが、
あんなのを見せられた後のせいか、なんだか気の抜けたコーラを飲んでるような気分だった。

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