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電車で帰宅途中

959 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/01/28 13:56
僕の家から会社までは、小さな私鉄の電車で約30分です。
都会では考えられないでしょうが、行きも帰りもほとんど座って通勤しています。
その電車で帰宅途中、無気味な出来事を体験しました。

その日、僕は部長の誘いで飲みに行き、12時前の終電にようやく間に合いました。
タクシーで帰ると1万円弱かかりますから、
とりあえず電車にのれた事でほっとしながら、座席に腰をおろしました。
田舎の事なので、終電といっても静かなものです。
どうやらこの車両には、僕ひとりのようでした。
僕は足を前の座席にのばすと、酔いのせいもあって、すぐに居眠り始めました。

何分くらいたったでしょうか。僕は、小さな声で目をさましまた。
くすくすと笑う声は、どうやら小さな子供と、若い母親のようです。
子供「ねえ、この電車もよくのったよね」
母親「そうね。けんちゃん、電車すきだったものね」
子供「うん。○○駅に行った時はとっても楽しかったね」
母親「そうね、できたら東京駅とか、国鉄の大きな駅にも連れていってあげたかったわ」
子供「うん、夜行列車とか、いちど乗ってみたかったな」


960 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/01/28 14:05
僕は夢うつつに、親子の会話を聞いていました。
車両は4人がけの座席になっているので、姿は見えませんでしたが、
けっこうはっきり聞こえてくるということは、すぐ近くのシートにいるのでしょうか。
どこか途中の駅で乗ってきたのかな、と思いました。
母親「けんちゃん。国鉄にはあんまりのせてあげられなかったものねえ」
コクテツ、という響きが奇妙に感じました。
JRになってから、もう15年以上たつのではないか。
そんな事を考えているうちに、目が覚めてきました。
僕はそっとシートから体を乗り出して、周りを見回しましたが、親子の姿などこにも見えないのです。
僕からは死角になっているところに座っているのだろうか。

思い巡らしているうちに次の駅につき、乗降のないまま発車しました。


961 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/01/28 14:17
またうとうとしはじめると、それを待っていたかのように、親子のひそひそ声が聞こえてきました。
母親「けんちゃん、あの時はこわかった?」
子供「ううん、お母さんが一緒だったもん。ぜんぜん平気だったよ」
母親「でも、痛かったでしょう」
子供「んー、わかんない。でも、大好きな電車だったからよかった」
母親「そう、そうよね。けんちゃんの好きな、この青い電車をえらんだんだもの」
子供「あ、もうすぐあの踏切だよ」
子供がはしゃいだ声をだしました。僕はぼんやりと窓の外をみました。
カーブの先田畑の中に、ぼんやりと浮かぶ踏切の赤いシグナル。
その踏切に親子らしい人影がたっていました。
親子は、下りた遮断機を、くぐり抜けようとしているようにみえました。
キキキキーーーーーー
と電車が急ブレーキをかけると同時に、鈍い衝撃が伝わってきました。
そして、僕の座っているシートの窓ガラスに、ピシャっと赤い飛沫がかかりました。
全身の血の気が引く思いで、僕は思わずドアの方へと走ろうとしました。
しかし…座席から立ち上がってふと気付くと、電車は元通り走っています。
僕の心臓だけが、激しく鼓動をうっていました。
夢か…と、立ち上がったついでに車内をみまわしましたが、やはり誰もいません。


962 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/01/28 14:29
さっきから聞こえてきた親子の会話も、夢だったのかもしれない。
そう思って気を落ち着かせると、
一人で車両に乗っているというだけでおびえている自分が、情けなくさえ思えてきました。

終点です。と、車内アナウンスが聞こえ、ようやく電車が本当に減速しはじめました。
僕はコートと鞄を抱えて、出口にむかいました。
ホームの明かりが見え始めました時、はっきりと後ろに人の気配を感じました。
なにか、ぼたぼたと水滴の落ちるような音もきこえてきました。
視線を上げ、僕の背後に映った人影を見た瞬間、僕は思わず持っていた物を取り落とし、
そのうえ腰をぬかしてしまったのです。
ガラスに映っていたのは、五歳くらいの子供を抱いた若い母親でした。
母親の左腕は肘から先がなく、胸もずたずたで、その傷口から血をぼたぼたとたらしていました。
そして右腕で抱き締められている子供は、左半身が潰されて、ほとんど赤い肉塊にしかみえませんでした。
子供は残っている右目で、僕をジッと見つめていました。

その後はあんまり覚えていません。
へたり込んでいる僕を駅員が引っぱりだし、そのまま事務所で冷たい水をだしてくれました。
車内の出来事を、その駅員に聞くことはできませんでした。
実際に飛び込み自殺があったといわれたら、おかしくなりそうでしたから。
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