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『牛女』

949 :1/2 :2008/08/16(土) 00:02:06 ID:dN3hu4Fz0
ある有名な話について興味深い話を聞いたので、少し書いておこうと思う。

会社の先輩が割とオカルト話が好きな人で、
同行営業の折に、停車中の車の中でそういう話で盛り上がった事があった。

その人は俺より一回り以上歳上で、子供の時分は、
所謂『見世物小屋』と呼ばれる胡散臭さ抜群の見世物が、まだまだそこかしこで見られたそうだ。
そんな人であるから、俺はこの地方でも特に有名なある話について聞いてみた。
「そういえば、『牛女』って話、知ってます?」
「え。何それ?」
「知らないですか?
 ほら、六甲山に出てくる牛頭の着物女って言う話なんですけど・・・ここら辺じゃ有名らしいですよ?」
どうやら知らないらしい彼女に、俺はネットなんてかで見聞きした話を話してみる。
すると、先輩は少し考えるような素振りを見せて、
不意に「ああ。それ、違うのよ」。
「違う?」
「うん。まだ、わたしが子供の頃なんだけどね・・・」


950 :2/2 :2008/08/16(土) 00:02:38 ID:dN3hu4Fz0
「わたしが子供の頃ね、六甲の山に遠足に行く事になったの。
 その事を近所のお婆さんに話したらね、彼女、真剣な顔でこんな話を教えてくれたの・・・」

六甲の山の中を歩いているとな、大きなお屋敷を見かける事がある。
だけど、そこには決して近づいたらあかんよ。
そこはあるお金持ちの別宅でな、でも今は使われておらんのよ・・・
と言うのも、そこの家と言うのが、たった一代で大きなお屋敷を幾つも建てたんやけど、
ある日、そこのひとり娘が、急におかしくなってしまたんよ・・・気がふれたんやね。
方々の医者に診せては見たけど、一向に良くならない。
それで、世間体もあったんやろうなあ、
最後には、六甲の山の中に建てたばかりのそのお屋敷に、娘さんを隔離してしまったそうや。
でも、身の回りの世話をする使用人も、最低限しかつけてなかったんやろ。
しょっちゅうお屋敷を抜け出して、山の中を叫びながら走り回ってたそうでなあ。
婆ちゃんも見たことは無いけど、子供の頃山の中で「ぎゃあああ!」って叫ぶ声を聞いたことあるしなあ・・・
何にせよ可哀想な話や。

「だから、それは牛女とか言うものじゃないと思うのよ」
「ははあ、なるほど・・・でも、何でそれが牛女になったんですかね?」
問いかける俺に、先輩は「ああ、そうそう」と頷き、
「そのお金持ちって言うのがね、何でも精肉業か何かで身を立てたらしいのよ。
 ほら、当時お肉って言うと牛らしくてね・・・
 お婆さんも、『殺生が過ぎたんやろうなあ』って言ってたわ」
「なるほど。『肉屋の娘』→『牛屋の娘』転じて『牛の女』。つまり『牛女』って事ですか。
 ・・・でも何か、こじつけっぽいなあ」
「ん~・・・でも、わたしの子供の頃に『牛女』なんて話聞いたことないしねえ」
そう言いながら、先輩はゆっくりと車を発車させた。

とまあ、そんな内容なのだが、全然怖くないな。ゴメン。

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